『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




説教190 

アッラーの称賛 


アッラーに称賛あれ。かれの称賛は広く行き渡る。
かれの軍隊は強力で、かれの荘厳さは壮大である。
引き続く御好意と偉大なる恵みにかれを称賛する。
かれは非常に寛容であられるから御赦しになり、決定されたことには公正であられる。
かれは起こっていることも過去に起こったことも御存知であられる。
かれの知識ですべての被造物を精巧に御造りになり、かれの聡明さによって創造されたのであるが、その叡智には限りがなく、 習得したのではなく、一切の知的な産出者の例に従ったのでもなく、過ちは全くなく、いかなる一団(の助けを)持たずに創造されたのである。
ムハンマド―彼とその子孫の上に神の祝福と平安あれ―はかれの僕であり、人びとが奈落で当惑していた時に遣わされた使徒であることを証言する。破滅の手綱が彼らを引っ張り、彼らの心には憎悪の錠がおろされていた。



アッラーの畏怖、現世とその人びとについての忠告


アッラーの被造物よ、あなた方に忠告する。アッラーを畏れなさい。
畏怖はあなた方に対するアッラーの権利であり、アッラーに対するあなた方の権利だからである。そのこととアッラーとの会見に関してかれの御助けを求めよ。
誠に、アッラーを畏怖することが今日の保護と盾であり、明日(審判の日)の楽園に通ずる道なのである。その道は明瞭である。その道を踏む者は益を得る。それを握る者はそれを保護しなさい。その道自体がすでに去った人びとにも、後から来る人びとにも示されている。
彼らは明日(審判の日)、それを必要とするからである。その時、アッラーは被造物を再び蘇らせて、かれが与えたものを取り戻される。かれが授けたものに注意を払われる。それを受け容れ、なすべき実践をする者はなんとわずかであろうか。その数は非常に少ない。彼らは栄光のアッラーが与えられた説明に応じる者たちである。かれはこう仰せになったのだから。

 ……だがわれの僕の中で感謝する者は僅かである。(聖クルアーン34章13節)

それゆえに、あなた方の耳でそれに急ぎ、努力を振り絞りなさい。
成功者として彼らの位置を得るために、すべての過去(欠点)の代替としなさい。
そして、あらゆる抵抗に対しての支えとしなさい。
その助けで睡眠を目覚めに交代させ、一日を過ごしなさい。
あなた方の心の装置とし、死に急いで向かいなさい。
それを軽視する者から教訓を得なさい。
軽視する者たちがあなたを教訓としないように。警告する。
あなた方はそれに注意して、それに依って自身を大切にしなければならない。

現世から離れ、夢中になって来世に向かいなさい。
アッラーを畏怖することで高い位階を与えられた者を低くみなしてはならない。
現世で高い地位を与えられた者を高くみなしてはならない。
この世の輝く雲をみつめ続けてはならない。
それについて口にする者に耳を傾けてはならない。
それに向かうよう呼びかける者に応じてはならない。
それの光を求めてはならない。
それの価値のあるもののために死んではならない。
なぜなら、それ(現世)の輝きは偽りであり、それの言葉は過ちで、
それの富は略奪されやすく、それの貴重なものは持ち去られるものだからである。

警告する。この世は魅惑しておいてからそっぽを向く。
(この世は)頑固で、先に行くのを拒む。嘘をついて悪用する。
責任がないと言い、報われないものである。
意地が悪く、(この世を愛する者を)見捨てる。魅惑するが災難を引き起こす。
この世の状態は変化しており、この世の階段は振り動き、この世の栄誉は汚れ、
この世が真剣なのは戯れであり、この世の高さは低い。
それは略奪の場所であり、荒廃と破壊の場所である。
この世の人びとは喜んで自分たちの足で駆り立て、征服し、去る。
この世の道筋は戸惑い、出口は当惑、企みは失望に終わる。
したがって、この世の砦は彼らを裏切り、家々は彼らを放り出し、巧妙さが彼らを失敗させる。

彼らの中にはつながれた駱駝のような者、家畜が食肉にされたような者、体を切断されたような者、流れた血のような者、 (苦しみで)手を噛む者、(自責の念で)手のひらをこする者、(不安で)手を頬にあてる者、自身の見解を恨む者、 彼らの決意から逃げる者がいる。
しかし、行為の時は去ってしまい、災難の時が近付いている。「もはや逃れ得ない時となって。」(聖クルアーン38章3節)
ああ、悲しや! ああ、悲しや! 失ってしまったものは失われた! 去ってしまったものは去ってしまった! この世は通常のやり方で過ぎ去る。

かれらのために、天も地も泣かず、かれらに猶予も与えられなかった。
(聖クルアーン44章29節)




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