『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




説教189 

アッラーを畏れることの重要性、墓場の孤独、
アフルル・バイトを愛する者の死は殉教と同じであること  


アッラーの恩恵に感謝してかれを称賛する。かれの権利を満たすことにおいてかれの御助けを求める。かれは強固な軍を持たれる。かれの荘厳さは壮大である。ムハンマド―彼とその家族にアッラーの平安と祝福あれ―は、かれの僕であり預言者であることを証言する。彼は人びとに服従を求め、教えのために戦って敵を圧倒した。人びとは一緒になって彼のことで嘘をつき、(アッラーの)光を消そうと試みたが、彼は阻まれなかった。

したがって、あなた方はアッラーを畏怖しなければならない。それには綱があって、しっかりしめられ、その極めて高尚な先端は傷つかないからである。(善行で)死の苦悶に向かって急げ。近付いてくる前に支度をせよ。最終的な終焉は審判の日なのだから。理解する者には説教としてこれで十分である。知らない者にとっては教訓として十分である。狭苦しい墓場、孤独の苦しみ、来世への通路の恐怖、恐怖の苦悶、(狭い墓の中で)体をよじり、耳が聞こえず、墓の中は真っ暗で、約束の懲罰に恐怖し、墓穴がふさがれてその上に墓石が置かれる、終焉に到達する前に、あなた方は何を思うのか?

故に、アッラーを畏れよ、アッラーを畏れよ。おお、アッラーの被造物よ、この世はいつもと変わらずにあなた方によく振舞っている。あなた方と審判の日は同じ綱につかまっているのだ。その印がやって来たかのように。その抗弁が接近し、あなた方をその通路に立たせたかのように。恐怖の慄きがこちらにやって来て、地面に胸をつけて止まっているかのように。その間に、現世は人びとと別れ、その膝から人びとを降ろした。過ぎ去った月日のように。新しいことは古くなる。太っていた者は痩せ細る。

彼らは狭い場所に、極めて複雑な出来事の中に、火の中に、いる。その苦痛は激しく、泣き叫ぶ声をはりあげ、炎が燃え上がり、音が振動し、耐え難いほどの燃え方で、痛みの和らぎははるか遠い。燃料は燃え盛り、火の脅しはおぞましく、空洞は隠れて見えず、側面は暗く、容器は燃え立ち、このすべては嫌悪感を引き起こさせる。

  かれらの主を畏れたものは、集団をなして楽園に駆られる…… (聖クルアーン39章73節)

彼らは懲罰から安全である。処罰から離れ、火から遠ざけられている。彼らの住処は平安で、かれらが望んだことに、また留まる場所に満足である。彼らはこの世での行いが清らかな人びとで、目には涙があふれており、彼らの夜は畏怖と悔悟を求めるので昼間のようであり、昼間は孤独と孤立で夜のようであった。それでアッラーは天国を彼らの帰り所となさり、その報酬とされた。永遠の領域、絶えることのない御好意の中で「かれらがその(安らぎに)値し、またそれを受け取るため……(聖クルアーン48章26節)」

おお、アッラーの被造物よ、それゆえに、成功することのすべてを注意深く考慮し、損失することを無視し、あなた方の善行を手段にして死に向かって急げ。あなた方は過去の行いに縛られるからである。先送りしたもの(善行)のみがあなた方の貸付となる。恐れている出来事(死)があなたの許にやって来たかのごとく振る舞いなさい。(善行するために)戻ることはできず、悪行を取り消すことはできないので。アッラーが我々とあなた方をかれと預言者への服従に駆り立てられますように。そして、かれの偉大なる御慈悲で御赦しになりますように。

地上で最後までやり遂げ、試練には忍耐強くあれ。舌を好んだ後で手と剣を動かすな。
アッラーが急ぐよう求められなかったことに急いではならない。あなた方の中でアッラーの権利を知り、預言者とその家の人びとの権利に関しての知識を持って自分の床で死んだ者はみな殉教者として死ぬ。その人の報酬はアッラーの義務なのである。その人はやろうと意図した善行にも報われる。彼の意図は剣を抜く行為の代りとなるからである。誠に、すべてのことには時があり、限度がある。




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