『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




説教182 

アッラーの恵み深さへの称賛 


アッラーに称賛あれ。見えなくても理解され、困難なく創造された御方に。
かれはその偉力で被造物を創造し、高潔なる威光により支配者たちの至誠を受け取られた。かれの寛仁により偉人を超越した。被造物を創造して世界に人間を住まわせ、ジンと人間にかれの使いを遣わせてそれを明らかにさせ、この世の害を警告し、実例を示し、欠陥を示し、現世の繁栄と病の変化に関する教訓、また合法と非合法なることの収蔵のすべてと、服従する者と不服従な者へのアッラーの命令のすべて、すなわち楽園と地獄、栄誉と不名誉を、彼らの前に置かれた。かれが被造物に御望みになった称賛において、わたしはかれを称賛する。
かれはすべてに限度を定め、あらゆる限度に時の制限を設け、ことごとくの時を記録なさる。



同じ説教より
聖クルアーンの偉大さと重要性


クルアーンは禁じまた命ずる。無言だが語りかける。それはアッラーの被造物へのかれの証拠である。かれは被造物からそれに従うことの誓いを受けとられた。かれはそれの光輝を完全なものとされ、それを介してかれの教えを完成させた。かれは預言者がクルアーンを介して人びとにかれの導きの命令のすべてを伝えた後で、彼をこの世から去らせた。
したがって、アッラーは偉大さを保持なさるので、あなた方はかれを偉大なる御方とみなさなければならない。なぜなら、あなた方からその教えを何も御隠しにならず、かれの御好みになることもそうでないことも一切を省かずに、それをかれの(導きの)明瞭なる象徴とされ、それを遠慮するのか、それに向かうのかの、明確な結果をもたらす印とされたからである。かれの御満悦は今後も同じである。

あなた方の先人のことでかれが不快であられたことは、あなた方に対しても御悦びにはならず、またあなた方の先人のことで悦ばれたことは、あなた方に対しても不快ではあられないということを知れ。あなた方は明瞭な道を踏んでいる。あなた方の先人が語ったのと同じことをあなた方は語っている。現世であなた方の必要とすることには、アッラーだけが必要なのである。
かれはあなた方に感謝を継続するよう説得なさった。そしてあなた方の舌でかれを言及することをあなた方の義務とされた。



審判の日の懲罰を警告


かれはあなた方が恐れるように忠告され、それをかれの最高の御悦びとされ、被造物からの
要求のすべてとされた。したがって、アッラーがあなた方の前に在られ、前髪をつかんでおられるかのように、あなた方はかれを畏れなければならない。あなた方の位置はかれの支配下にある。あなた方が物事を開示すれば、かれはそれを知ることができる。物事を隠せば、それを記録なさる。そのために栄誉の守護者(天使)を任命し、天使は正しいことは省くことなく、不正はすべてをその記録に入れた。アッラーを畏怖する者には災難を避ける道が示され、暗黒の光を与えられるということを知っておきなさい。かれはその者が望む状態に維持され、かれが御造りになった家の、かれの傍の栄誉の位置に留めておかれる。この家の覆いはかれの玉座、その光はかれの御光、訪問者はかれの天使、その教友はかれの預言者たちである。

したがって、(来世の糧を用意することで)帰り所に向かって急ぎ、死に進みなさい。間もなく人びとの期待は短縮され、死が彼らを圧倒する。その間、悔悟の扉は彼らの前で閉じるだろう。
あなた方の先人が帰るのを望んだ場所にあなた方はまだいる。あなた方の家である現世で、
あなた方は移動を続ける旅人にすぎない。ここから去るよう呼ばれており、ここにいる間にそのための糧の仕度を命じられている。この薄っぺらな皮膚は地獄の火に耐えることはできない。だから自分を哀れみよ。あなた方はもうこの世の災難の中でそれを試したのだから。

とげに刺されたり、つまずいて血を流したり、灼熱の砂で火傷をした人を見たことがあるか? 悪魔が友となり、石に囲まれ火獄の鉄板の間に挟まれたらどうであろうか? 知っているか。
マーリク(地獄の守護者)が火に怒れば、火は(暴れて)ぶつかり合い、彼が叱ると、地獄の扉の間を泣きながら飛び跳ねる。

おお、年老いた白髪の人びとよ、火の輪があなた方の首を触り、きつく手を縛られて額の肉を食べられたらどう感じるであろうか? アッラーを畏怖せよ! アッラーを畏怖せよ! 
おお、皆の者よ、病の前の健康な間に。苦境に倒される前の安心な間に。抵当が質流れになる前に、あなた方の首が解放されるように努めよ。あなた方の目を使い、(体重を減らして)痩せた腹で、足を使い、財産を費やし、己の身体を使って。出し惜しみしてはならない。栄光のアッラーはこう仰せになった。

  あなたがたがアッラーに助力すれば、かれはあなたがたを助けられ、その足場を堅固にされる。(聖クルアーン47章7節)

崇高なる御方はこう仰せになった。

アッラーに良い貸を、貸し付ける者は誰か。かれはそれを倍にされ、(その外に)気前のよい報奨を授けるであろう。(聖クルアーン57章11節)

かれが弱いからあなた方の助力を求めるのではない。かれに欠乏があってあなた方の貸し付けを命じるのではない。かれはあらゆる軍隊と天地を所有され、強固で叡智ある御方なのにも関わらず、あなた方の助力を御求めになる。天地の財宝を所有され、豊かで称賛される御方であるにも関わらず、あなた方からの貸し付けを御求めになる。かれはあなた方の善行を試そうとしておられる。
したがって、あなた方の道がかれの住処の隣人と一緒になれるように、善行の実践に急がなければならない。かれは預言者の教友をこの隣人にさせた。そして天使たちに彼らを訪問させた。火獄の音が彼らの耳に届かぬようにかれは彼らの耳を敬った。そして彼らの体が疲労しないよう御守りになった。
これはアッラーの恩恵で御心に叶う者にそれを授ける。本当にアッラーは、偉大な恩恵の主であられる。(聖クルアーン57章21節)
そうだ、あなた方は聞いている。わたし自身とあなた方のためにアッラーの御助けを求める。わたしにはかれで十分。かれは最高の分与者であられる。




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