『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




説教118 

アミール・アル=ムウミニーンは民衆を集めてジハードを呼びかけたが〈注〉 長いこと無言だった。「あなた方はどうしたのか。口がきけなくなったのか?」 と言うと、「おお、信者の司令官よ、あなたが前進されるのであれば、我々も共に」 と民衆が返答した。このとき彼が言った。  



あなた方に何があったのか? あなた方は正しく導かれていないのかもしれない。
もしくは正道を示されていないのかもしれない。このような状態でわたしが前に進むべきであろうか? 
いや実際には、今はあなた方の中からわたしが選んだ最も勇敢で勇猛な人が行くべきである。軍隊と住民と公庫と租税とムスリム間の公正な秩序と原告者の要求を守ることからわたしが
離れてしまい、次々と不慮の出来事を追いかけ、羽のない矢が震えて動くようにあちこち動き回るのは適切ではない。

わたしは臼の軸である。それはわたしが自分の定位置にいて、その周りを回転する。
わたしがそこから離れたとたんに回転の中心はかき乱され、その下の石も不安定になる。
アッラーにかけて、これは非常に悪い忠告である。 アッラーにかけて、わたしが敵との対峙による殉教を望まなかったのであれば、そして彼との対峙が定めであったのならば、わたしは自分を運ぶものを確保し、あなた方から去り、南と北の違いがある限り、あなた方を求めはしなかっただろう。

あなた方の大多数は益にはならない。あなた方の心が統一に欠けているからである。
わたしはあなた方を明確な道の上に置いた。そこにいれば誰も消滅しない。
自身によって消滅する以外には。それにしがみつく者は天国に、それから逸脱する者は地獄に入る。


〈注〉スィッフィーンの戦いの後、ムアーウィヤ軍勢がアミール・アル=ムウミニーンのあちこちの領地を攻撃開始したとき、イラクの民に敵の調査を頼んだが、彼らはアミール・アル=ムウミニーンが前に進まれるなら自分たちも従うと宣言して彼の依頼を断った。その時になされた説教で、自分の限界を明確にさせ、自分が出て行けば政府の管理が不能となり、敵はすでにあらゆる方角から攻撃を開始しているということを明らかにさせた。このような状況下においては政府の中核を無防備にするのは愚かである。しかし、スィッフィーンの勝利を敗北に変えた人びとに期待はできず、攻撃の扉が開いた。




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