『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、（言行の）誠実な者と一緒にいなさい』

（クルアーン第９章１１９節）




　ナフジュル・バラーガ　Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム･アリー･イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




説教162　

アッラーの属性　


人間を創造されたアッラーに称賛あれ。かれは地上を広げた。
小川の流れを御造りになり、台地には植物を成長させる。
かれの原始性に始まりはなく、かれの永遠性に終わりはない。
かれは最初であり絶えることがない。制限されずに永続する。
額はかれの前にひれ伏し、唇はかれの唯一性を宣言する。
創造するときには限度を定められた。
かれはいかなる類似からも離れた御方である。

想像力は動きや体や五感に制限されてかれを憶測することができない。
アッラーに関しては「どこ？」ということができない。
「いつまで」と時間で制限することができない。
かれは明白だが「何から」ということができない。
かれは隠れているが「何の中に」ということができない。
かれは死んで滅びる肉体ではない。ベールに包まれているのでもない。
感触で何かに近いのでもない。隔たりによって何かから離れているのでもない。

人びとの凝視する眼はかれに隠れていない。
繰り返される言葉も、小山の一瞥も、暗い夜や薄暗がりに歩いた足跡もかれに隠れていない。 その足跡の場所には月の光が明かりを投げる。そして光り輝く太陽が目覚める。
太陽と月は沈んでは現れるのを周期的に繰り返す。夜の訪れと昼の通過によって。

かれはことごとくの限界と制限、勘定と数えを先立つ。
アッラーは測量による基準や限度に帰すとか、住居や棲家に居住するなどの属性をはるかに超越した御方である。
限度は被造物のためのものである。属性はアッラー以外にのみ当てはまる。



無からの創始者

かれの被造物は不滅の物質で造られたのではない。
存在する見本を真似て創造されたのでもない。
かれの創造で造られ、それに限界を設けられたのである。
かれが形として形づくり、最良の形が与えられた。
かれに不服従できるものは何もない。
とはいえアッラーは何かに服従されることで助けられるのではない。
過去に死んでいった人びとに関するかれの知識と、残っている生存者に関するかれの知識は同様である。
高い天にあることのかれの知識は低い地上にあることのかれの知識と同様である。



同じ説教より
人間の創造、人生の条件

おお、公平に創られ、育まれ、子宮の暗黒の中で、複数の幕で世話された被造物よ。
あなた方は「泥の精髄から」（聖クルアーン23章12節）創られたのである。
そして「安泰な休み所（子宮）」に「定められた時期まで」（聖クルアーン77章21−22節）置かれ、時間を定められたのである。あなた方は母親の子宮の中で胎児となって動いていた。
呼びかけに応じることも声を聞くこともなく。

それからあなた方は休み所から連れ出され、見たことのなかった場所に置かれた。
待ち望む恩恵の手段を知らされてはいなかった。
母親の乳房で糧を補うことを誰に導かれたかも知らされていなかった。
そして、あなた方が必要だったとき、あなた方に求められた、あるいは意図された位置を
評定された。
ああ、悲しや！　誠に、形と身体を与えられて存在することの本質が理解できぬ者には、
なおのこと創造主の本質を理解することはできず、被造物の限界により創造主への感謝はわずかである。




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