『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




説教107

時の移り変りに関する説教 



被造物そのものが被造物に明らかにさせるアッラーに称賛あれ。
明瞭なる証拠により彼らの心に明らかである御方に。熟考せずに創造した御方に。
熟考は思考させる臓器をもつ者以外にはふさわしくない。かれに思考する臓器はない。
かれの智は未知の秘密の中に裂け入って、深い信心の底を覆った。




同じ説教より
聖預言者に関して


アッラーは預言者たちの直系の木から、光から、偉大さの額から、アル=バトゥハの丘の
最良の場から、暗黒を照らす灯火から、叡智の源から、彼を御選びになった




同じ説教より


預言者は、熱処理した医療器具や軟膏が整って歩き回る医師に似ている。
盲目の心、聾の耳、無口な舌を治す必要が生じたときにはそれを使う。
怠慢という斑点や困惑という局部を彼の薬で治療を続ける。




ムスリムへの非難


人びとはかれの叡智の灯火から光を得ず、火打石の火花を発する知識から炎を点すことを
しなかった。だから、このことに関しては、彼らは牧草を食う牛や硬い岩のようである。
にもかかわらず、悟る者には隠れたものが見えた。さまよう者には公正の顔が明瞭となり、
近付いてくる時がその顔からベールをまくり上げ、探し求める者に印が現れた。

わたしはどうしたことか! わたしにはあなた方が見える。
あなた方は精神のないただの肉体、肉体のないただの精神、善のない熱愛者、利益のない
商人、目が覚めているのに眠っており、そこに居るのに姿が見えず、見ているのに盲目、
聞いているのに聾、話しているのに口がきけない。

誤りの導きがその中央に立ち、撃ち損なってあちこちに広がっていることにわたしは気づいて
いる。その重さがあなた方を量り、その測量があなた方を混乱させる。その指導者は共同体の
のけ者である。彼は誤りの導きを主張する。だから、あの日、あなた方からは誰も残らないだろう。 鍋のかすと、箒で塵を払った後に残る埃を除いては。それは革をこするようにあなた方を
こすり、収穫が踏みつぶされるようにあなた方を踏みつぶし、鳥が乏しい穀粒の中から大きな粒を見分けるように、信ずる者が見分けられる。

これらの道はあなた方をどこに連れて行き、薄暗がりはあなた方をどこに誤り導き、過ちは
あなた方をどこに陥れるのか? どの時代にも書き記された記録があり、ぼんやりした者は皆、戻らねばならない。だから、あなた方の聖なる指導者に耳を傾け、あなた方の心は常にそこになければならない。彼があなた方に語れば、目覚めなさい。先駆者はその民に真理を語らなければならない。間断なく心の平静(聡明さ)を保ち、心の存在を維持しなければならない。
彼は物事を明瞭な編み目のようにあなた方のために明らかにさせ、(細枝から)ゴムを剥がすようにそれを剥がし取る。

それなのに、今、過ちがその位置に定まり、無知の上に野獣が乗っている。手に負えないことが増加し、 善の呼びかけが抑制された。肉食動物がむさぼり食うように時が襲いかかる。
おとなしくしていた駱駝のように過ちが叫ぶ。人びとは悪の行為においての兄弟となり、信仰を放棄し、嘘を言うことで統一したが、真理においては互いに憎悪を抱いた。

このような場合には、怒りの原因は(両親への冷ややかな視線ではなく)息子にあり、興奮の種を浴びせかける。邪悪な者がうようよし、善良な者は減る。この時代の人びとは狼、その支配者は野獣、中流階級の人びとは暴食家、貧民はもうすこしで死にそうである。真理は落ちぶれ、過ちが氾濫し、口先で情愛を主張しても人びとの心は怒りっぽい。姦通が子孫の鍵となり、貞節は稀で、イスラームは皮のようにひっくり返されるだろう。




00889.gif(1103 byte)  説教108









Designed by CSS.Design Sample