『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




説教165

孔雀と鳥のすばらしい創造 


アッラーは見事な被造物を御創りになった。
それには生物と無生物、動かぬものと動くものとがある。
かれはその精巧なる創造力と偉大なる力の明白な証拠を確立させた。
心はそれを認識し、かれに服従する。
かれの唯一性についての議論が我々の耳を打つ。
かれはさまざまの形の鳥を御造りになった。
それは大地の巣、峠の空地、山の頂上に棲む。

鳥にはいろいろな羽があり特徴がある。アッラーの権限に支配されている。
壮大な空の空間で羽をばたばたさせる。
アッラーは関節、骨、肉でかわった形の鳥を無から存在させた。
一部の鳥には体を重くさせて地上の近くでしか羽を使えないようにさせ、簡単に空を飛べないようにした。かれの精巧なる創造力で、色も異なるように御創りになった。

同系色で染められ、染められた色以外の色をもたない鳥もあれば、別の一色で染められて
首だけが異なる色の鳥もある。



孔雀について


その中で最も驚異なのが孔雀である。
アッラーは最高の対称的な寸法によってそれを御創りになった。
差し挟まれた羽の先は最高の配色で統一され、長い尾がある。
雌孔雀の方へ動くと、折り曲げられた尾が開き、頭上を覆うように広がって上がる。
その様子は船乗りが船の帆を揚げるようである。
孔雀は自分の色を自慢して、いばったように動く。それは雄鶏のように交尾する。
戦いのときの強壮な男のように、受精のために(雌孔雀へ)飛びかかる。

わたしは観察したことであなた方にこういったことを語っている。
弱い権限で語る者とはちがう。孔雀は目から流れる涙で雌を受精させるので、涙がまぶたの
先に止まると雌がそれを飲み込んで卵を産むと信じ、涙のほかに受精させるものはないと信じている人びとがいる。彼らがこのように言っても、(受精のために)互いに与えるカラスほどの
驚嘆ではない。あなた方はその羽が銀で成り、見事な円形の、太陽のような形の羽が成長して純金と緑色のエメラルドになると信じている。それを大地で成長するものに例えるなら、春に集めた花束。服に例えるなら、模様の服、またはイエメンの驚くべき多色彩の衣のようである。
装飾品に例えるなら、銀をちりばめた、いろいろな色の宝石のようである。

孔雀は誇り高く歩き、尾と羽を開いて、その美しいドレスと宝石の首飾りの色合に感嘆して微笑む。だが、孔雀は肢をちらりと見て大声で泣く。その鳴き声は助けを求める声、真の悲しみである。その肢がインド=ペルシャの異種交配の雄鶏のように細いためである。
脛の先には細いとげがあり、頭の鶏冠にはたくさんの緑色のまだらな羽がある。
首はゴブレットの形ではじまり、腹まで長く伸びる。その色はイエメンの髪染めか、黒いベールで覆われたような、磨かれた鏡に映る絹の衣のようである。
過度の光沢と明るさにみずみずしい緑色の混合を除けば。耳の穴にはペンの細い先のように雛菊色の明るく輝く線がある。わずかでも取り入れられていない色彩はなく、完全なつやと光沢と絹のような輝きと華麗さで一層高められている。従ってそれは時折の開花のようで、春の雨や夏の太陽に慣れていない。

それはまた羽を脱ぎ捨て、ドレスを脱ぐ。全部が落ち、また生える。小枝から葉が落ちるように羽がその根元から落ちる。それらはくっついて羽が落ちる前のようにまた生える。新たな色合いは以前と変わらない。定まった位置の色がその通りに現れる。羽の根元を注意深く見てみると、赤い薔薇のようであり、次にエメラルド色、それから山吹色にみえる。

知性の鋭敏さがどうやってこのような創造を描写できようか。
心の機能もしくは説明者の言葉でどうやって語ることができよう。
最小の部分は、想像で理解するのも舌で説明するのも不可能である。
アッラーに栄光あれ。眼の前に公然と置かれ、限度を設け、形づくり、調整し、
色付けられた被造物の描写に、知性を無能力にされた御方に。
その特質を簡単に語ることさえも舌を無能にさせ、称賛をふくらませるのも無能とされた。



大小の被造物の創造主の崇高さ


アッラーに栄光あれ。小さな蟻と蝿に足を与え、その上にある蛇と像に足を与えた御方に。
かれに霊魂を吹き込まれたものは皆かれに拘束されるので、その骸骨は動かないのだが、
その死は定めの場所であり、破滅は最後の終焉である。



同じ説教より
天国の説明


あなた方に説明された天国に眼を向けるなら、ここに示された現世の優美、
すなわち現世の欲望と快楽と景色の美しさに心は嫌悪するようになるだろう。
あなた方は天国の川土手にあるジャコウの香りの、小山に隠れた木の根の、がさがさという音に放心するだろう。それらの木の小枝と枝の、新鮮な真珠の山に魅了されて。
その葉の茂る下で様々の果実が生った様子に。その果実はもぎ取ろうとする者の欲望に従って、苦なく摘み取ることができる。純粋な蜜と発酵されたワインが宮殿の中庭に座っている人びとに手渡される。

彼らは永遠の住処に定住するまで、常に栄誉に従われた人びとである。
彼らは旅の移動から休息を得た。おお、聴衆よ! あなた方の方へ急ぐ、これらの素晴らしい
光景に向かおうと忙しくするならば、あなた方の心は確かにそれを求めて死んでいくであろう。そして、わたしの聴衆のこの場からまっすぐの所の、墓場の人びとへと急ぎ、彼らの連れ添いになる用意ができていよう。アッラーはその御慈悲によって、我々とあなた方を、高潔な人びとの住処を心から目指す者の一員になさるだろう。




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