『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




説教98 

現世の禁欲と時の移り変わり 



起きたことにおいてアッラーを称賛する。我々にまだ起きていないことにはかれの援助を求める。体の安全を哀願するように、信仰の安全をかれに哀願する。

おお、アッラーの被造物よ! 現世から離れるようあなた方に忠告する。あなた方は現世が去ってしまうのを好まないが、現世はすぐにあなた方から去っていく。若いままでいたくてもあなた方の体は老いる。あなた方を例にすると、遠くに行く旅人である。旅人が急いで横断、或いは、道標を目指してすぐに到着するように。目的地に向かい、到着すれば、なんと短い距離であろう。延長できない、一日しかない人の旅程はなんと短いことか。ちょっと運転者が彼を乗せていけば、この世は彼の許から去るのである。

だから、この世の名声にあこがれてはならない。現世の美と恵みをめでたいと思うな。現世の損害と不運に嘆き悲しむな。名誉は終わる。現世の美と恵みは消滅する。損害と不運は去っていく。現世のどんな期間にも終わりがある。どんな生き物も死ぬ。先人の遺跡に警告があるのではないのか? あなた方の先祖が眼を開かせ、教訓を示して、あなた方を理解させるのではないのか?

あなた方の先祖は戻ってこないということ、そして先人の後を生きる人びとがずっといき続けることはできないのをあなた方は理解しないのか? この世の人びとが朝と夜をさまざまな状態で通り過ぎるのがわからないのか? どこかで死者が悲しまれたり、誰かが悔やみを言われたり、苦境にひれ伏したり、病の理由を問いかけたり、最後の呼吸をしたり、現世を熱望している間に、死はその人を探している。その人が忘れていても、死はその人のことを忘れない。生きている人たちは、先祖の足跡を歩むのである。

用心せよ! 悪事を犯すときには、喜びを破壊するもの、楽しみを略奪するもの、欲望を抹殺するもの(死)を思い出しなさい。アッラーに対する義務を遂行するときにはかれに援助を求めよ。そしてかれの限りない恩恵に感謝せよ。




00889.gif(1103 byte)  説教99









Designed by CSS.Design Sample