『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




説教87 

共同体の分裂 



さて、誠に、アッラーはこの世の手に負えない暴君に時間と機会を与えずしてその首を折ることはなさらなかった。また、どの人びと(ウンマ)にも災難と苦難を与えずして壊れた骨をつなぐことはなさらなかった。これから与えられる苦難が小さかろうが、すでに苦難を与えられていようが、あなた方には十分教訓となる。心をもつ人間にことごとく理解力があるわけではない。耳のある人がことごとく耳を傾けるのでもない。目のある人がことごとく見て知るのでもない。

こういった集団の過ちについてわたしは驚く。驚かない理由がない。彼らは信仰の口実に別のものを導入し、預言者の足跡を進まず、彼の代理の行為に従わない。彼らは未知なるものを信じない。悪を避けない。彼らは疑惑に従って行為し、情熱に沿って歩く。彼らにとっての善とは彼らが良いとみなしたもの、悪とは彼らが悪とみなしたものなのである。彼らは苦難の解決を自分たちに頼る。疑わしいことへの確信は、彼ら自身の見解である。まるで彼らの一人が指導者(イマーム)であるかのように。自分が決めたことであっても信頼できる手段と強力な要因に従ったものと考える。




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