『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




説教29

ジハードの時にいい訳をした人びとに関して


おお、皆の者よ、あなた方の体は一緒だが、欲望は異なる。あなた方の論じることは硬い岩を柔らかくする。あなた方の行為は敵を惹きつける。あなた方は、これをします、あれをします、と座ったままで主張するが、戦いが近づくと、(戦いに向かって)「あっちに行け」と言う。誰かがあなた方に援助を求めても気に留めない。苦労してあなた方とつき合う人の心に安堵はない。
いい訳は、不都合のために借主が支払いを拒むのに似ている。卑劣な者に抑圧を撃退することはできない。努力なくして正義は確立できない。この家のほかにどの家が保護するのか? わたしの後、あなた方はどの指導者(イマーム)に従って戦いに出るのか?

アッラーにかけて! 裏切られた人とは、あなた方が裏切った人のこと。アッラーにかけて! あなた方と共に成功する人が受け取るのは、無駄な矢だけである。あなた方は折れた矢のように敵に投げ捨てられる。アッラーにかけて! わたしはもうあなた方の意見に確信をもったり、援助に期待したり、あなた方を通じて敵に挑戦したりはしないとの見解にある。あなた方はどうしたのか? 何の病に冒されているのか? どうすれば治せるのか? もう一つの党もあなた方と同じ体の人たちだが(人格がかなり異なる)。行為の伴わない口先だけの発言をし、敬虔さのない軽率な行いをし、正しくないことに貪欲であろうとするのか?!




〈注〉ナフラワンの戦いの後、ムアーウィヤはアル=ダッハーク・イブン・カイス・アル=フィフリーを四千人の部隊と共にクーファに送った。混乱を起こし、手当たり次第に殺害させ、流血で忙しくなるよう破滅を目指した。アミール・アル=ムウミニーンの心に安泰がなくなるように。
この目的のために罪なき人々が虐殺され、破壊はサッラビーヤの地にまで広がった。そこではメッカ巡礼者のキャラバンを攻撃して所有物を略奪した。そしてアル=クトゥクタナでは、アブドッラー・イブン・マスードの甥で預言者の教友であるアムル・イブン・ウワイス・イブン・マスードとその従者をすべて殺害した。このようにして大惨事が発生した。
アミール・アル=ムウミニーンがこの破滅を知って、野蛮行為を止めるために民衆に戦いを呼びかけたのだが、民衆は戦いに出るのを避けたい様子をみせたため、彼らの無気力と熱意のなさに嫌悪感を抱いて説教台に登った。この説教で民衆に恥を抱かせ、聖戦を避けないで国の安全を守るために立ち上がらせた。そしてついにフジュル・イブン・アディー・アル=キンディーが四千人の軍勢を率いてタドムルの敵を倒すために立ち上がった。小競合いの後、夜になって敵は死者19人のみで退去した。アミール・アル=ムウミニーンの軍の殉教者は2名だった。




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