『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




説教22

ウスマーン暗殺の責任を彼に非難した人びとに関して


用心せよ! 確かに悪魔が武力を開始した。抑圧を極致に到らせ、不正を元の位置に戻すために、悪魔の軍隊を召集した。アッラーにかけて彼らがわたしに非を責めるのは正当ではない。彼らとわたしの間に正義はなされていない。

彼らは自身が放棄した権利をわたしに要求し、自身が流させた血のことをわたしに詰問している。〈注1〉わたしが彼らの仲間なのであれば、彼らは共犯者である。だが、わたしは彼らと無関係で彼らが犯したことであれば、その結果と向き合うのは彼らのみである。(わたしに対する)彼らの最大の理屈は(実際は)彼ら自身に向けられたものである。乳がでなくなった母親の乳を吸い、すでに死んでしまった創意発案に息を吹き込もうとしている。この挑戦者は(戦いで)どんなに失望するだろう? この挑戦者は誰で、何に対応しているのか? 彼らがアッラーの論理を論じ尽くしてわたしは満足である。アッラーは彼らのすべてを御存知であられる。彼らが(服従を)拒むなら、わたしは剣の刃先をささげよう。それが十分に不正を治療し正義を支える。

彼らが槍の戦いに進み出て剣で戦う準備をするようにとわたしに伝言してきたのには驚く。喪に服する女たちが彼らのために悲しみますように。わたしはいつもそうであるが、一度として戦いを恐れたことがなく、攻撃に怯えたことはない。わたしはアッラーから信仰の完全なる確信を享受し、自分の信仰に疑いを抱かない。




〈注1〉アミール・アル=ムウミニーンがウスマーン暗殺の罪を問われた際に、この説教で疑惑に反論した。歴史が実証しているように、ウスマーン暗殺の復讐を扇動して成功させ、ムスリムの墓場での埋葬を阻止して棺桶に投石したのは、同一の、ウスマーンの復讐に立ち上がった人びとだったのである。これに関与した人たちのトップに名を連ねるのが、タルハ・イブン・ウバイドッラー、ズバイル・イブン・アル=アッワーム、アーイシャだった。というのも、両者の出来事で彼らの努力は顕著だった。両方の出来事で三人の努力は目立っていた。イブン・アブー・アル=ハディドはこう記している。

ウスマーン暗殺の出来事を報告した人びとは、暗殺があった日、タルハは人の目を避けるために顔に覆い、ウスマーンの家に矢を放っていたと記録している。

これと関連してズバイルの見解がどのようなものであったかも記録している。

歴史家によると、ズバイルは「ウスマーンを殺せ。あなた方の信仰を改竄したのだから」と発言していた。人びとが「彼の入口であなたの息子が見張っているが」と言うと、ズバイルはこう返答した。「息子は迷ってしまったのかもしれぬが、ウスマーンは殺されるべきだ。明日、彼はシラートの死体のように横たわるだろう」(シャラフ・ナフジュル・バラーガ9巻35‐36頁)

アーイシャに関してはこう記されている。

アル=ムギーラ・イブン・シュウバがアーイシャの許へ行くと彼女が「おお、アブー・アブドゥッラーよ、ジャマルの日にあなたも一緒にいたらよかった。いくつかの矢が駱駝の鞍を突き抜いてわたしの体に当たった」と言うと、ムギーラは「その矢で殺されたらよかったのに」と応えたので、アーイシャが「アッラーがあなたを哀れむように。なぜか?」と言うと、彼はこう答えた。「ウスマーンに対してあなたが犯したことの償いになっただろうに」(アル=イクド・アル=ファリード4巻294頁)




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