『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




説教55

戦場で不動であることについて


かつて我々はアッラーの預言者の教友として、親と、息子と、兄弟と、叔父(伯父)と戦っていた。信仰、服従、正道の歩み、耐え難い苦痛の忍耐、敵との戦いにおいて、これが我々を存続させた。我々の味方と敵の男は盛んな男が殺すか殺されるか競うようにして飛び掛った。
我々の男が敵を負かすこともあれば、敵の男が我々を負かすこともあった。

   アッラーは我々の誠実さを観察されたので、大地に首をつけて休む駱駝のようにイスラームが確立されるまで、我々の敵に屈辱を与え、我々を援助された。我が命にかけて、我々があなた方のように振る舞っていたならば、宗教の柱は一本も立つことができず、信仰の木に葉が生えることはなかったろう。アッラーにかけて、あなた方は確かに(乳の代わりに)我々の血を搾り取り、やがて恥辱を味わうであろう。〈注〉




:ムハンマド・イブン・アビー・バクルが殺された時、ムアーウィヤはウスマーンの血の復讐をバスラ市民に勧告するためにアブドッラー・イブン・アーミル・ハドラミーをバスラに送った。
というのもバスラ市民の大多数、特にタミーム族はウスマーンに同情的だったためである。
ちょうどこの時、バスラの知事アブドッラー・イブン・アッバースはムハンマド・イブン・アビー・バクルの弔問でクーファを訪問中だったので代理はズィヤード・イブン・ウバイドに任されていた。
バスラの空気が悪化してズィヤードはアミール・アル=ムウミニーンに現状を伝えた。
彼はクーファのバヌ・タミームに戦いの準備をさせようとしたが沈黙したまま返答がなかった。

アミール・アル=ムウミニーンは彼らの脱力と恥知らずな様子を見て説教した。
「預言者の時代、我々は倒した相手が親族かどうかではなく、真理と衝突する者かどうかを見ていた。 そのような者と戦うことに準備があった。我々があなた方のように不用意であったり怠惰であったりしたなら、 信仰の教えが根を張ることもイスラームが栄えることもなかったであろう」
アヤーン・イブン・ダビーフ・アル=ムジャシッイーがこの説教で奮い立ち、戦いの準備をしたが、バスラに到着後、敵の剣で倒れた。この後、アミール・アル=ムウミニーンはジャーリヤ・イブン・クダマ・アッ・サゥディーをバヌ・タミームの50人と共に送った。ジャーリヤは最初、部族民に支援を求めたが、正道に従わないで不正行為に陥って戦った。その時、ジャーリヤはズィヤードに援助を求めた。直ちに援軍が到着した。その中にアブドッラー・イブン・アル=ハドラミーもいた。両者の剣が使われた後、イブン・アル=ハドラミーは70人と共にサビール・アッ・サゥディーの家に逃げた。ジャーリヤは他に手段がないのをみて放火し、炎から逃げようとしたが成功せず、壁の下敷きになる者や死者が出た。




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