『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




説教85 

来世の仕度とアッラーの命令の服従について 



アッラーは隠れたことを御存知であられ、内に秘めることも承知であられる。かれは凡てを包囲する。凡てを支配し、凡ての上に偉力を御持ちである。あなた方は皆、死が近づくまでの生命ある間になすべきことをやらなければならない。保有される前の自由な間に、窒息する前の呼吸ができる間に、旅路の仕度をし、留まる場所のために停留場所で備えておかなくてはならない。

  おお、皆の者よ、だから、神の書でかれがあなた方に備えを求められたこと、あなた方がかれに信託されたかれの権限に関して、アッラーを思い出しなさい。誠に、アッラーはあなた方を無駄に創造されたのではない。あなた方を放任したのではない。無知と暗闇に置き去りにしたのでもない。かれはあなた方が何を残すべきかを明確にし、行いを教示し、死を命じ、「凡ての事物を解き明かす啓典(クルアーン16章89節)」をあなた方に下し、長い期間、あなた方の中で預言者を生きさせて、教えを完了させるために彼とあなた方のために、かれが好む教え(宗教)すなわちクルアーンで教示し、預言者を通して善行と悪行、禁止と命令を明確にさせた。

あなた方の前に道理を置いて弁解の余地を残させなかった。かれの約束をあなた方に示して、過酷な懲罰を警告した。従って、あなた方は残された日々をしっかりと償い、その間に忍耐を実践しなさい。あなた方が忘れて訓戒を顧みない日々と比べれば、それはわずかな日々である。自身に時間を与えてはならない。不正行為をする者の道に従わせてしまうので。気楽にしていてはならない。罪に向かわせてしまうので。

おお、アッラーの被造物よ! 自身への最高の忠告は、アッラーに極めて忠実であることである。自身を何よりも騙すのは、アッラーに極めて不服従なことである。惑わされた人とは自身を惑わした者のこと、羨望する人とは自身の信仰が安全である者のことである。幸運な人は他者から教訓を学び取る人のこと、不幸な人は欲望の犠牲者のことである。どんなに些細であろうと見せかけ(偽善行為)は多神を信じるようなものだということを知れ。欲望の従者と付き合うのは信仰を忘れる鍵であり、悪魔の座席である。

偽りから身を守れ。それは信仰に反する。誠実な人は救済と尊厳の極みにあるが、嘘つきは屈辱と不名誉の崖に立つ。嫉妬してはならない。火が乾燥材を燃やしてしまうように、信仰を飲み込んでしまうのだから。悪意を抱いてはならない。それは善徳を削ぎ取ってしまう。欲望は忘却を生み出し、記憶を喪失させるということを知れ。欲望を裏切ってしまいなさい。幻想なのだから。欲望を抱くのは詐欺師である。




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