『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




アミール・アル=ムウミニーン・アリー・イブン・アビー・ターリブの文書、
敵に宛てた書簡、知事に宛てた書簡、役人の任命書、家族と教友への指示


書簡9 

ムアーウィヤへの書簡 


我々の民(クライシュ)は我らの預言者を殺して祖先を消滅させることに決めた。我々を悩ませ、残酷にふるまい、安らいだ暮らしを許さず、恐怖にさらし、険しい山中での偽の避難を強い、戦いの炎を燃え上がらせた。

それでアッラーはかれの教えを保護し、かれの栄誉を守るように我々を決意させた。我々の中の信ずる者はその報酬を期待し、不信心者は血縁を理由に我々を支持した。クライシュ族の中でイスラームを受け入れた人々は、誓約が彼らを守ったためか、彼らを支援するために立ち上がる部族がいたためか、我々を巻き込んだ苦しみから遠くにいた。
従って、彼らは殺人からは安全だった。預言者(彼とその子孫に神の祝福あれ)のやり方はこうだった。戦いが激化して民衆の状態が悪くなると、自分の家族の一員を送り出し、剣と槍の攻撃から教友を守った。こうすることでウバイド・イブン・アル=ハーリスはバドルの戦いの日に、ハムザ(イブン・アブド・ル・ムッタリーブ)はウフドの日に、ジャーファル(イブン・アビー・ターリブ)はムッタの日に倒れた。そしてもう一人、わたしが望めばその名を述べることもできるが、彼らのように殉教者になるのを望んだ人がいた。だが、彼らの死は迫っていたのだが、その人の死はまだ近づいていなかった。

わたしが知らないことか、アッラーも御存知でないと思われることを彼が主張せぬ限りは、わたしのように急ぎ足を一度もみせたことがなく、わたしが成し遂げたような名誉を保持せぬ者とわたしが同類にみなされるとは、なんと奇妙なことであろうか。どっちにしても、すべての称賛はアッラーのものである。

ウスマーンの暗殺者を引き渡すようにという依頼に関して、わたしはこのことを考えてみたのだが、彼らをあなたか他の誰かに引き渡すことはできない。我が命にかけて。あなたが自身の過ちと破滅的な行為を放棄しないというなら、あなたは確かにそのことを知るであろう。それらの行為が間もなくあなたを探しに来るだろう。わざわざ大地、海、山、平原でそれらを探さなくても。だが、探し求めるのはあなたにとって苦痛となろう。それらが訪ねて来ることであなたに幸せはもたらされないだろう。それを受けるに値する者たちの上に平安あれ。




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