『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




アミール・アル=ムウミニーン・アリー・イブン・アビー・ターリブの文書、
敵に宛てた書簡、知事に宛てた書簡、役人の任命書、家族と教友への指示


書簡64 

ムアーウィヤへの返信 


確かに、貴方が申されたように、我々と貴方は友好的な間柄にあった。だが、先日、我々は信仰の教え(イマーム)を受け入れたが、あなた方が拒否したために相違が生じた。今日、我々は(信仰の教え)に忠実であるが、あなた方は害悪を引き起こしている。あなた方の中でイスラームを受け入れた人々はしぶしぶそうした。族長全員がイスラームを受け入れ、神の使徒(彼とその子孫の上にアッラーの祝福あれ)に加わったときもそうだった。

貴方はこう言った。わたしがタルハとアッ・ズバイルを殺し、アーイシャを家から追い出し、二つの町(クーファとバスラ)を居住地にしたのだと。これらのことは貴方には何の関係もなく、貴方に都合の悪いことではない。拠って、貴方に説明を要することではないのである。

また、ムハージリーンとアンサールの一団と供に来ると言われたが、貴方の兄弟が囚われた日にヒジュラ(聖遷)は終わった。急ぐなら、少しの間、待たれよ。わたしの方から貴方に会いに行く。そのほうが適している。貴方を罰するためにアッラーに任命されたということになるのだから。だが貴方がわたしに向かって来るのであれば、バヌ・アサドの詩人が詠ったようになるだろう。

彼らは夏の風に対抗して前進している。高台と低地で彼らに石を投げつける風に。

貴方の祖父、母方の兄弟、貴方の兄弟を一所に追いやったあの剣を、わたしは今でも持っている。アッラーにかけて。貴方の正体をわたしは知っている。心は覆いに包まれ、知性は貧弱である。貴方は自身に不利益の、悪しき眺めの場所、貴方を味方する場所ではないところに降下したと言ったほうがよかろう。貴方は他者が失くしたものを探しているからだ。誰かの牛を可愛がっているのである。貴方に属さないものを求めているのである。貴方の言行はなんとかけ離れていることか。父方と母方のおじ、また悪に導かれ、ムハンマド(彼とその子孫の上にアッラーの祝福あれ)に反抗するために不正を愛した人々に、貴方はなんと似ていることよ。貴方も知っているように、そのために彼らは殺された。災難から身を守るための要塞を建てることができずに。戦場での弱さを見せぬ剣の激しい攻撃から安全でいることはできなかったのである。

貴方はウスマーンの暗殺のことを何度も語った。貴方はまず人々が加わったこと(忠誠の誓い)に加わり、次に(非難された人々のことで)わたしの判断を求める。わたしは崇高なる神の書に従って、あなた方と彼らの間を解決させよう。だが貴方が目指していることは、離乳一日目の子に偽の乳首を与えているようなものである。値する人々の上に平安がありますように。




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