『あなたがた信仰する者たちよ、アッラーを畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい』

(クルアーン第9章119節)




 ナフジュル・バラーガ Nafj Al−Balagahah
   ---イマーム・アリー・イブン・アブー・ターリブの説教、書簡、格言集 ---




アミール・アル=ムウミニーン・アリー・イブン・アビー・ターリブの文書、
敵に宛てた書簡、知事に宛てた書簡、役人の任命書、家族と教友への指示


提示書27 

アミール・アル=ムウミニーンからエジプト知事に任命された ムハンマド・イブン・アブー・バクル(アッラーの御満悦がありますように)への指示  


民衆には謙虚にふるまい、情け深くあれ。寛大な心で面会し、平等に扱いなさい。
そうすれば、身分の高い者が彼らをひいきしてあなたが不正を行うことを期待しない。
身分の低い者が彼らに対するあなたの公正さに失望しない。
確かに、崇高なるアッラーは、些細なこと、重大なこと、また公然のこと、隠れたことで、あなたの行為を問われるであろう。おお、かれの被造物の共同体よ。もしもかれがあなたを処罰されるなら、それはあなたが抑圧者だったからだ。もしもかれが御赦しになるなら、それはかれが最も寛大な御方だからである。

おお、アッラーの被造物よ。神を畏怖する者は、やってくる来世も、つかの間の現世の喜びも、分かち合った。彼ら(神を畏怖する人々)は現世の人々と世俗事を分かち合ったが、彼ら(現世の人々)は彼ら(神を畏怖する人々)と来世の事を分かち合わなかった。彼ら(神を畏怖する人々)は、生ける者の最良の態度でこの世を生き、最も好まれる物を食べ、その結果、安楽の生活を享受する者の楽しみをすべて享受し、傲慢またはうぬぼれ者が確保するものからは安全でいた。その後で彼らは旅の終点まで十分用意をし、また有益な取引の後で、その場所を旅立ったのである。彼らは現世を放棄する喜びを味わい、来世でやって来る日には、アッラーの隣人となり、彼らの叫びは拒否されず、分かつ喜びが少なくないことを堅実に信じた。

おお、アッラーの被造物よ。だから、死とそれによる評価を恐れ、そのために必要なすべてを準備しておきなさい。それは重大な出来事として、また深刻な事としてやって来よう。悪の一切ない善、善の一切ない悪として。天国に向けて働く者より天国に近い者はいるのか? 
地獄に向けて働く者より地獄に近い者はいるのか? あなたは死に追われている。立ち止まればそれは追いついてくる。逃げればそれに捕まる。あなたが思っているよりそれはあなたに懐いている。死はあなたの錠前につながっており、現世はあなたの背後で覆い包まれている。
だから火獄を恐れなさい。その穴は深く、炎は強烈で、処罰は奇抜である。そこは慈悲なき場所。どんな叫びも聞こえない。どんな苦しみも癒されない。あなたにアッラーを深く畏れることができるなら、そしてアッラーに希望をもつことができるなら、その両方を行いなさい。
なぜなら各人は、主を畏怖するのと同じほど主に希望をもつことができるからである。
誠に、アッラーに関して最も希望をもてる者とは、かれを最も畏れる者である。

おお、ムハンマド・イブン・アブー・バクルよ、わたしの最大の勢力であるエジプトを保護する義務をあなたに与えているということを知れ。だから、あなたには自身の感情と対抗し、宗教に対しての盾となる役目の義務がある。現世にたった一時間しか残っていないとしても。
他者を喜ばせるためにアッラーをひどく怒らせてはならない。アッラーは他者を取って代わらせることができる御方なのだから。だが、他の者がアッラーに取って代わることはできないのである。定められた時間に礼拝をしなさい。楽しみのために早く礼拝してはならない。何かに夢中になって礼拝を後回しにしてはならない。あなたの行為のすべては礼拝に左右されるのだということを忘れてはならない。



同じ説教より


導きの先導者と破滅の先導者は平等ではない。預言者の友と預言者の敵は平等ではない。
神の使徒(彼とその家族の上に平安あれ)はわたしにこう申された。「我が民に関して、わたしは信ずる者も不信心者も心配していない。信ずる者については、その者の信仰を理由にアッラーが御加護を与えられる。不信心者については、その者の不信心を理由にアッラーが屈辱を与えられる。しかし、心中では似非信者で、話し方を身につけた、あなた方全員のことを、わたしは心配する」




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